第3章
親子の課題解決に貢献する気持ち

今の社会の中で子育てをする難しさ

私は、3人の子どもを育てる母親です。第一子を産んだ時には、「今の社会の中で子育てをすることは難しいことだなぁ。しかし、これも将来どんどん良くなっていくだろう」と期待していました。しかし、7年後に3人目を出産しても、それは全く同じ感覚でした。周囲を見渡すと、街の中には空き家が徐々に増えています。跡地に出来るのは駐車場や高齢者向けの施設ばかり。地域の公園には「騒がない、ボール遊び禁止」の張り紙が増え、危険だ少子化だと言う理由でどんどん遊具が撤去されていきます。子連れで街を歩くと「邪魔だ」「うるさい」と言われ、舌打ちされる経験もしました。大人や高齢者を取り巻く環境は時代と共に大きく発展するにもかかわらず、子どものための環境やサービスはどんどん取り残され、むしろ悪化してしまっているようにも感じました。そんな社会で子育てをすることは、親たちにとってとても息苦しいだろうと感じました。

時間が経っても子育て環境が改善されない現実

私は、少しずつ将来へ目を向けるようになりました。今自分が感じる子育ての難しさを、次世代のお母さんたちが同じように感じるのは嫌だなと。当時の私はそれを政治のせいにし、行政がなぜもっとがんばれないのかと文句ばかり言っていました。そんなある時、退職されたある政治家の方が「街の日を灯すのは、私たち市民一人一人なのだ」と演説する姿をインターネット上で観ました。次の瞬間、その言葉は子育て環境に対するもどかしい私の気持ちと結びつきました。誰かのおんぶに抱っこじゃダメなんだ!と。待っていても誰もやらないから、私が改善しないといけないんだと思いました。そこで、私は「私たち母親の『欲しい!』を集めた施設を自分たちの手で作ってしまおう!」と決意を固めました。

周囲からの温かい支援・協力で立ち上げた親子サロン「結」

親子のための場所(サードプレイス)創りを一緒に手伝ってくれる仲間作りからスタートしました。あらゆる知識を振り絞ってサードプレイスの構想を練り、「親子カフェ+室内あそび場+一時預かり専用の託児所」という親子サロンを創設すると決心をしました。幸い、協力してくださる企業様、個人様が徐々にみつかり、更にはクラウドファンディングでの資金調達にも成功したことは有り難く、驚きでもありました。あらゆる方法で支援を募った結果、ものすごい数の人たちに応援して頂けたことで、私たち母親が目指す施設は目に見える形でどんどん出来上がっていきました。そして、お家でも公共施設でもない親子のためのサードプレイスというコンセプトで、2018年に民間子育て支援施設mam&kids salon「結-Yui-」をスタートしました。

パンデミック下でも親子を支える強い気持ち

やっと軌道にのりはじめたそんな感覚を得る事ができた時に、パンデミックにより営業ができなくなりました。その苦しい期間、多くの方々に沢山の寄付や衛生用品の提供などでサポートを頂きながら、なんとか施設の維持・管理をしていました。公共の子育て支援施設が全て閉まっていた時期、私たちの施設は厳しい衛生管理を自ら実施して、いち早く開店させました。パンデミックで実家へ帰省することができなかった産後間もない母子の頼れる場所として「結」を機能させたかったからです。パンデミック中は手探りの選択を繰り返す厳しい運営でしたが、同時には自分たちが施設をなぜ立ち上げたかを振り返る機会となりました。その結果として、親子への支援に対してブレない姿勢で行動するに至りました。産後の大変な時期にパンデミックが重なったお母さんたちの不安を少しでも取り除き親子を支える、その役割を担うことができたことは立ち上げ時の理念と照らし合わせれば当然のことでした。

私たちの理念に賛同して頂ける仲間を増やしたい

毎日お客様に寄り添う気持ちで丁寧さを心がけながら施設運営を重ねると、「結-Yui-」の視察にいらっしゃる方が増えていきました。北海道から沖縄まで、オンライン視察も含めてたくさんの方に興味を持って頂いています。子育て支援関係の施設創りやそれにまつわるコンサルティングのご依頼を頂くことも増えました。それは、弊社の企業理念である「親子に関わる社会課題を解決する」ことに賛同してくださる仲間が増えたと捉えています。我々のリソースが世の中のためになるのであれば、という気持ちで視察からコンサルティングまでの様々なご依頼に対して誠実な想いで取り組ませて頂いております。将来、クライアント様が仲間となって手を取り合い、その結果として温かい親子支援の輪が全国に広がっていくことが私たちの願いです。

「街の子育て環境を整える」、「孤立した子育てをなくしたい」など、起業した時に持ったそれらの信念を強く持ち続けながら多くの皆様と共に、子育てしやすい社会を実現したいと考えております。そのためにも、クライアント様の想いを理解して夢を実現し、それぞれの場所で、さまざまな環境で、あらゆる形で親子が支援を享受できるように取り組みを積み重る、それこそが我々のやるべきことだと捉えております。

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